天秤。

紋切り型、わかりやすい善悪の判断の先に真実はえてして存在しないものである。


一方向からの議論に興奮してしまって気持ちよくしゃべってしまうことは危険である。口をモゴモゴさせて、時には身をよじりながら言葉をひねり出すくらいのほうが、ものごとは着地させやすい。


同様に、一方向からの議論をまくしたてるような人とはなかなか仕事では組みづらい。そうなると、こちらも売り言葉には買い言葉で、先方の議論の粗を探して反駁することがメインになってしまい、建設的な議論ができない。


世の中の議論が分断され、違う立場の人たちがなかなか分かり合えなくなってきているのは、気持ちよくしゃべってしまう人が増えたからにほかならない。気持ちよくなるためだけにその行動を取るのはあながち間違ってはいないが、業として、生活の糧を得る行動の延長線上にそうしたふるまいをしてしまうのであれば、なかなかに問題である。


集中して、限られた時間のなかで自分自身と自分がいま取り組んでいることをプレゼンテーションをするのは、いくつになっても難しい。