旅行人再び。

久しぶりに雑誌「旅行人」を引っ張り出す。最近は思いを馳せることも少なくなった、海外の風景をみてたまらなく懐かしい気分になる。この本に出てくるような秘境に行ってみたいという気持ちを抱いていたのは10年前くらいまでだろうか。そこからは、とんと遠い世界になってしまった。


また、世界に踏み出してみたい気持ちがムクムクと湧き上がってきた。なんのために生きているのか、忘れていたような気もする。もちろん、人間30歳を過ぎて家庭のひとつも持つようになれば、自分の人生、自分の命など二の次で、次代のために命を燃やすべきだ、というのもひとつの考え方だ。それでも、そのような勤めがひと段落すれば、もう一度身ひとつで海外をさまよって、それこそどこか知らない街で事切れるのもひとつかな、なんて思ったりもする。


旅の形も年月とともに変わっていき、いまでは家族旅行が主流になってきた。それでも、ふとした瞬間に思い出すのは、ひとりであてもなく旅をしていたときの何気ない景色である。なんとでもなる、どうにでもなるという思いを持って、そんな旅ができるようになる日まで生きていこうか。