降りる。

いまさらながらシンエヴァの感想をば。ストーリーはいろんな場所で語り尽くされているので割愛するけれども、完結編ならではというポイントとしてはやはり、シンジを含めたパイロットみながエヴァを降りていく、ということに尽きるのだと思う。機体とシンクロして戦っていく存在から、生身の人間として自分の人生を生きる存在へ。人類補完計画は結局のところ達成されず、人はみなそれぞれの人生を、それぞれの次元で歩んでいくのだということ。それが、監督の伝えたかったメッセージだったということなのだろう。


ひとつになって生き抜くのでもなく、個々のままでぶつかりあいながら生き抜くのでもなく、これからはみんながみんな交わることもなくややクローズドな世界で生きていくことになるのだ。そしてこの1年半の世界の変容をみてもその傾向はどんどん強まっているように思う。


なにがいいのかはわからないけれども、旧来のヒエラルキー構造は終わりを告げるし、そのなかで心が壊れてしまう人も少なくないと思う。自分だってどうなるかわからない。爆発しそうな心をなんとか押さえているような気もする。そんななかでも、安易な気休めのようなものには飛び付かず、地に足をつけて歩いていくことだけが、自分を保つ術なのだろう。