あえて。

「あえて」見ないほうが幸せだった、ことがある。「あえて」聞かないほうが良かったこともある。


いままで、できる限り全てを網羅しないと気が済まない性格だった。情報収集にもかなりの時間を割いていた。事情通にはなったけれども、それで仕事ができるようになったかというと、そうでもない。


40歳も近くなって、「切り捨てる」ということをもっとしないといけないのかな、と思うようになった。ここに至るまで担当者レベルの仕事しかしてこなかったから、効率や選択と集中の考え方が乏しかったと自覚している。ドライになれないタイプの人間なので、やや希望的な観測を相手に伝えてしまって、話をずるずると延ばしてしまうこともあった。


一方で、歯に衣着せぬ物言いをするともよく言われる。言わなくてもいいとどめのひと言まで言ってしまうのだ。「あえて」言わないほうがいいこともある。


ある意味で純真無垢だから、なにごとにも深入りしてしまうのかもしれない。痛い目に遭ってしまえば、これ以上は行かないほうがいい、などという塩梅もよく理解してしまう。それがいいのか、悪いのかはわたしにもわからない。