パニーニ。

ここ数日は暖かかったのだが、また冷え込んできた。昼下がりに会社の近くを歩いていると、ふとパニーニのキッチンカーを見つけた。思わず手が伸びた。


ヨーロッパには2回行ったことがあるけれども、実質新婚旅行として行った2回目もさることながら、1人で行った初めての旅のほうがなにかと印象深い。それはきっと寂しかったからだろう。大学生でおカネもなくて、8月なのに冷え込んだパリの街でパニーニを頬張った。パンはほどよく加温されていて、空きっ腹に沁み渡った。


COVIDが世界中を覆い尽くして、before-COVIDの思い出が甦るなびに、なんともいえない泣きそうな気分になる。もう戻ってこない時間に思いを馳せてしまう。人生にはこれからたくさん、時間が戻せたらよいのに、と切望するようなことが起こるだろうが、COVIDはその予行演習をしてくれているのだろうか。


もう2度と来ない機会かもしれないからこそ、ひとつひとつの出会いと別れを大切に、という気持ちは以前よりも高まっている。そして、人生における時間の有限さを思い、自分が好きなことにもっとフォーカスしようと思う。