返事。

少しの間机を並べて働いていた人が職場を去っていった。本当にひっそりと去っていった。


いろいろ辛いこともあったと思う。人生、どこで交通事故に遭うかわからないようなもので、キャリアのなかでも、こんなはずじゃなかった、ということに一度は出くわすだろう。そのときに、どう振る舞うか、ということをこの人からは学ばせてもらったように思う。


メッセンジャーアプリで「お疲れさまでした」と打ったが、返事はなかった。かろうじて既読にはなっていたようだ。届いてくれていればそれでいい。


会社という形がどんどん溶けていきそうな世の中で、僕らは本当にどう生きていけばよいだろうか。もはや管理職になっても嬉しいものではなく、いつ部下から刺されるかと怯えて過ごすことになる。かといって個人で闘うにはこの社会は厳しすぎるのも確かだ。


自分のなかのどの部分を律して、どういう風に働いていくのか、いよいよ問われる世の中になっていく。見てみぬフリをしてきたことや、逃げ続けてきた自分との対話からも、向き合っていく時代になっていく。