品川。
久しぶりに品川にきた。もしかしたら今年に入って初めてではなかろうか。長い連絡通路を歩くのはドキドキする。毎日のようにこの通路を歩いて会社に向かった記憶が甦る。
なんら問題なく円満に対処しているし、苦手な人もほとんどいないのだけど、なんだか胸がきゅっとしてしまう。新幹線口を出て右に曲がるのは今でもなお勇気が出ない。トラウマなぞ別にないのだけど、こういう感情になるということは、出戻りなぞは夢のまた夢の話だなと思う。
左に曲がって違う会社に足を向ける。このあたりの一角もなにも変わっていなくて、お昼どきに足を運んだこととか、数々の飲み会をしたことが思い出される。そこここに散らばっている記憶は、その場所に降り立つことで拾われるのだなあと思う。辞める直前に、あてもなく手持ち無沙汰にぶらぶらと歩き回ったことも思い出される。
朝方は冷え込んだのだけど、晩秋の日差しを浴びながら歩いていると身体がぽかぽかとしてくる。ついついそっけなく捨て去ってしまったものも、振り返ってみれば大切にしておけばよかったのだなあという思いが去来する。