おひさま。

谷町筋から上町筋のあたりをてくてくと歩く。このあたりは御堂筋のあたりの喧騒からも遠く、大通りとはいえのんびりした雰囲気が漂っている。ビルやマンションもぽつんぽつんとしか建っておらず、なによりもお寺が多いので、街全体に高さがなく、とても空が広く感じる。


こういうところを歩いていると、仕事中ながら心が穏やかになってくる。以前平日の夕方に知人と会っていたときに、ふいに仕事の電話がかかってきたので目の前で受電してやりとりをしていると、「やっぱり仕事モードになると眼光の鋭さだったり表情が変わるね」と言われた。基本的には、なるたけ分人とはならず、同じ自分でいようと思っているのだが、業界柄仕事の中身もけっこうシビアな話になってしまうので、いざとなるとやっぱり違う自分が顔を出してくるようだ。


自分の利益が相手の損になってしまうことも少なくないので、そのせめぎ合いのなかでヘラヘラしているわけにもいかないけれども、できる限りは常にまあるいおひさまのようなたたずまいの人間であり続けたいとは思う。良い悪いではなくてそれが自分だ。