嫌われ者。

僕は比較的清濁併せ呑む気質であり、誰に対しても同じ態度で接していると自覚している。とはいえ、余りにも好きになれないタイプの人、自分を明らかに利用しようとするタイプの人には冷たく対応することもあるのだが、自分がこの人はちゃんと付き合おう、と認めた人に対しては、たとえ周囲の人とよく軋轢を巻き起こす人であっても、分け隔てなく付き合うようにはしている。


仕事のお付き合いで、とある、周囲の人からしばしば疎まれている人がいる。それは喰うか喰われるかの世界で他人を出し抜いてでも生き抜くためには必要なふるまいだったとも言えるし、はたまた本人の出自等から身につけてしまった悲しい性なのかもしれない。


その人が、僕にはすごくよくしてくれるのである。もちろん、彼が僕のことを利用しようとする意図がないわけでもない。これは、僕も彼のことを利用する気持ちが無いと言えば嘘になるのでお互いさまだ。ただ、それだけではなくて、彼のふるまいをみるに、彼は、少なくない周りの人から嫌われていることを既に自覚していて、もうこれ以上嫌われたくないから、いろいろと気を遣っているのかな、と思えてくるのである。そういうことに気づいたからといって僕が態度を変えることもないのだが、やっぱり複雑な気持ちにはなる。