桜とおり。

久しぶりに八重洲のあたりを歩いた。数ヶ月も離れていると、細かな地理感覚を喪失してしまっていることに気づく。それは単に時間が経って忘れてしまった、という理由だけではなくて、目印になるような飲食店がたくさん閉店してしまっているのである。


1番親しみのある、八重洲北口付近の富士そばから始まる通りなどは、富士そばをはじめとして軒並みが閉店である。結局今までと変わらず開いていたのは松屋だけであった。この通りで食事していた人たちはいま、どこでお昼を食べているだろうか。


八重洲の街並みのなかにたくさんある、狭い路地に面したバーや居酒屋などもひっそりとしている。おそらくは相当な数の飲食店が廃業に追い込まれたことだろう。最後には再開発になるのだろうか。ボトルを置きっぱなしのあのバーもどうなっただろうか。


コロナは不動産まわりの時計の針をも進めることになったようだ。これからまた再開発もどんどん進むようになるだろう。新しい生活様式にのっとった街に生まれ変わるということだ。新しいものに期待するとともに、古いものの記憶もちゃんと頭の中にしまっておきたい。