裸一貫。

以前からなんとなく、次の景気の落ち込みが来るときは、企業や家計部門がいよいよ貯め込んだ内部留保や貯蓄を吐き出すような事態になるのだろうなと想像していた。それがどんな形でもたらされるかは想像もつかなかったのだが、いまこういう事態になって、こういうパターンもありえたのだ、と感嘆している。きっと今回の事態は恐慌につながり、企業はキャッシュを垂れ流し続けることに、個人はスタグフレーションという形でその貯蓄が意味をなさないことになるだろう。唯一不動産や資源などは比較的減価をまぬがれる、ということになるのかもしれない。


いまはどこの国も財政総出動で景気を下支えしようとしているが、感染の勢いが弱まらないことにはどれだけマネーを供給しても意味がない。本質的には完全なるワクチンが開発されるまで出口は見えないのだろう。そこまでなりふり構わず財政出動し続けることの副作用、そして結局ドブに捨てることになるカネは、出口を迎えたときにどんな作用をもたらすことになるだろうか。ヒトモノカネとは言うけれど、本当に誰もが裸一貫「ヒト」からのスタートを余儀なくされるのかもしれない。