神戸、夕暮れ。

神戸にて。きょうは1日たいして成果もなかったな、と帰り道をとぼとぼと歩いていると、小学校の教室から歌声が聞こえてくる。聞き覚えのあるメロディ、震災の年に生まれた「しあわせ運べるように」の歌だ。自然と足を止めて、その声に聞き入った。


もう17時くらいにならんとする時間帯で、春になろうとするいまは夕暮れの一歩手前の空だ。黄色い光が西の空から注ぎ込んできて、あともう少しで空全体が黄色に包まれる。深呼吸をして、光に照らされはじめた六甲の山を眺めてみる。


時間が止まってほしいと思うような美しい時間だ。名誉よりも、金銭物質的な充足よりも、こういう時間にふと巡り合うために生きているんじゃないかと思うように、美しい時間だ。


おりしも、朝のニュースで、コロナウイルスに負けないようにと中国でオリジナルの歌が生まれているというくだりを視聴して、なんだかプロパガンダっぽいなあと思ってしまった自分を恥じた。人々が逆境から立ち上がるにはやっぱり歌の力が必要なのだ。