家族旅行。

四国を高速バス移動中に、ふと窓の外の景色をみていると、南にすっと伸びる線路、そして近くの道路には琴平⚪︎キロという看板が出ている。これをみて、小学6年生の頃だったか、家族5人で青春18きっぷを使って琴平まで旅行したことを思い出した。


あの頃既に、祖母は60代後半だっただろうか。朝6時前に家を出て、1日のなかでまるまる10時間くらい電車に乗りっぱなし、帰宅が21時などだったので、いま思い返せばよくやったものだと思う。


もう記憶もあいまいなのだが、どこかで祖母が「たまにはこういう旅もいいわね」なんて言ったことはいまでも鮮明に覚えている。確か旅行の企画は僕だったので、褒められたみたいで嬉しかったのだろう。もしかしたらこれからも1番記憶に残り続けるセリフだ。


家族旅行にはよく行ったが、福井への帰省を除けば家族5人で連れたって出かけたのはこの1回限りかもしれない。たいしたことのない旅行だが、僕にとっての「こころの風景」と言えばこれになるのかもしれない。祖母のセリフと、瀬戸大橋から海を見下ろすと、水面がやけにキラキラと輝いていたことだけが記憶に残っている。