リテンション。

トヨタの社長や経団連会長から、終身雇用制度の維持が難しくなっていくだろう、という旨の発言が出た。まあ、そもそも終身雇用制度すら、ごく一部の大企業や公務員に限られたものだったので、なんら衝撃もないのだが。


とはいえ、ある程度オフィシャルにこういう発言が出た以上、実態としても終身雇用制度は溶解していくだろう。少なくとも年功序列による給与体系などは完全に消滅して、賃金の上昇カーブが急な人と、30歳くらいからは賃金の上昇が止まる人に分かれてくるのは間違いない。


これは雇用者側が一方的に苦しくなる話でもなくて、企業側も雇用者のリテンションが問われることになるだろう。適切な処遇ができない職場からはどんどん有能な人材は流出していく。処遇といっても、金銭的なものに限らず、働き方の柔軟性や非金銭的なやりがいなども大きな要因になるだろう。働き方改革とは本来その文脈から捉えられるべきものだと思う。