不来方。

仕事と旅行のどちらにおいても日本全国ほとんど訪れたことがある(未踏は九州、四国の一部くらいか)のだが、意外にも岩手県はほとんど降り立ったことがなかった。新幹線でさーっと通過したり、沿岸部にちょこっと立ち寄ったり、というくらいだったのである。


そんなわけで、盛岡の街をくまなく歩いてみたのだが、これがよかった。いつも振り返れば岩手山が頂きに雪をかぶってそそりたち、街の中を清らかな川が流れている。宮沢賢治石川啄木柳田國男が紡いだ世界のように、目に見えないものを大切にする心が人々に根付いている。こんな素敵な場所にこの歳までたどり着いていなかったのは、なんの因果か、神の思し召しか、と思わされるほどに、久しぶりに、訪れてよかったなあと感じる場所であった。


勤勉で心優しい人々、カラッとした気候、瑞々しい緑、どれをとっても素晴らしい。昔みた朝ドラの「どんど晴れ」もいい作品だったけど、その通りの心がすかっとするような場所だ。知人の息子さんが、岩手に就職を決めたと聞いていたが、彼がこの場所を選んだ理由が今ではなんとなく分かる。