亜熱帯。

関東はだいぶんと涼しくなってきたので、那覇に降り立つと夏が戻ってきたように感じる。亜熱帯特有のねっとりとした空気はあまり気持ちよくは感じない。季節がもっと進んで、本州で暑さが恋しくなる頃になれば、懐かしさも覚えるのだろう。

関西や北海道はインバウンドが減って大変だと聞くが、沖縄はその影響も受けず賑わっている。ただ、観光客が訪れる店と地元民向けの知る人ぞ知る店はたいていすみ分けられている。観光客が見る沖縄と、地元の人と知り合いになって見る沖縄の景色はやはり違う。

深夜、しこたま酔っ払ってふらふらとホテルに帰る。昼間や夕方は賑わっていた大通りも、24時を過ぎるとさすがに静かである。身体の奥底から出てくる、うめき声ともしゃっくりともつかぬ音を吐き出しながら、身体も心も緩ませて歩を進める。汗が噴き出す。

ホテルのロビーに入るとキンと空調が効いている。気持ちを鎮めて眠りにつけるだろうか、と案じながら、エレベーターが降りてくるのを待つ。