早稲田。

仕事でも遊びでも、普段なかなか来ることのない早稲田にきた。本当にこのあたりに足を運ぶことは珍しくて、もしかすると大学受験できた17年前以来だったのかもしれない。

受験に訪れたのは確か2月19日だったろうか、竹橋のホテルに1人泊まった。窓から見える寒々しい景色の向こうには皇居が見えて、もう特に最後の追い込みをするような気持ちにもならなくて、ぼーっと部屋で過ごしていた。なにを食べたのかも覚えていない。きっと吉野家あたりだろう。

おぼろげに覚えているのは、CDプレーヤーで宇多田ヒカルの歌を聴いていたことだ。同い年の女の子の歌を聴いて、何者かにならないといけないと自らを奮い立たせて、眠りについたことを覚えている。

そしていま、なにが成功でなにが失敗だったかはわからないが、どうにかしてここにいる。まだ何者にもなっていないし、何者になりたいという思いは霧散してしまったけど、どうにかしてここにいる。そして行動するままに、次の道も開けていくものだと信じている。