カルアミルク。

いつも着ているぶ厚いコートを、電気ストーブで火傷させてしまったので、きのうは薄手のスプリングコートを羽織ってでかけた。自転車に乗ると冷気を感じるが、普通に電車に乗っている限りは充分暖かい。少しずつ春が来ているのを感じる。

春は昔のことをよく思い出す季節だ。ふと、初めて酒を飲んだ日のことを思い出した。あれは、大学に入るとき、宿舎への入居手続きが終わった日の夜だったか。たぶん歓迎会だったと思う。

それまでにも何度かお酒を飲んだことはあったのだが、ほんとに舐めるくらいのことだったので、ちゃんと飲んだのはあの日が初めてだったのだろう。そして僕は案の定というか吐いた。ビールは飲めるのだが、リキュールは飲めなかった。確かカルアミルクだ。リキュールで頭ががんがんして、薄暗い居酒屋のトイレで吐いた。なにやってるんだ、と自分で思ったりもしたが、吐いたあと生暖かい風に吹かれて帰って、がらんとした部屋のベッドに大の字になると気持ち良かった。

少し暖かくなって、あの延長線上にいまいることを思う。