マヅラ。

大阪出張。どえらい喫茶店に出会った。

大阪駅前第1ビルと言えば、中学生の頃から地元の友だちと遊びにいく、ちょっとディープな場所だった。ゲームセンターの型落ちの筐体で遊んだり、やたらと濃いミックスジュースを飲んだり、大人の世界を覗くような場所であった。あの薄暗いフロアを幾度となくさまよい歩いたはずだったが、喫茶店の存在は目にも入っていなかった。

「マヅラ」という店はなにからなにまで特異だった。店内の平均年齢は軽く60歳を超えているはずだ。東京の「ルノアール」とも違って、第一線から退きつつある人たちの憩いの場となっている。壁は黄ばみ、店内の装飾もバブルを通り越して万博の香りすら漂ってくる年代ものだ。

なによりも驚くのが、おじいさんが店の玄関に立って「らっしゃいませ!!」と叫んでいることだ(後に有名なお方であることを知る)。ざわついた店内にもその声は響き渡る。年季の入ったレジスター、漂う紫煙、昭和にタイムスリップしたような世界だ。

うまく言葉に言い表せないけれども、この喫茶店にはまた通う気がする。