一瞬の夢。

金曜の夜、久しぶりに終電で帰っている。人の波を小走りですり抜けて、終電を告げる放送を繰り返すホームにたどり着く。大きく肩で息をして、空いている座席に座り込む。

最後に飲んだ、雑味のないコーヒーは眠気を和らげてくれるかと思いきや、座って息を整えていると意識が飛びそうになる。喫茶店の照明がわが家のそれと似た発色をしていたので、脳が完全に弛緩してしまい、次から次へと眠気の波が襲ってくる。このまま寝てしまうと気持ちいいことは間違いない。

茶店で古い友だちと昔の話をしているうちに、意識が昔に戻ってしまったのか、気づいたら運動会の夢を見ていた。高校三年生の頃だろうか。高校では運動会はなかったはずだが。運動場に並べられた椅子に座りながら、隣の保護者席に目をやる。親が座っているのが見える。親の目から自分はどう見えているだろうか、と気になりながら動く自分がいる。

そこで目が醒める。眠ってしまったようだ。次が降りる駅だ。頭がスッキリとしている。どんな意味がある夢だったのだろうか。考えながら、すっかりと冷え込んだ帰り道を歩く。