はつ恋。

ふとした瞬間に、初恋のことを思い出した。

ちゃんとした初恋をしたのは小学6年に差し掛かる頃だった。同じ小学校、同じ塾に通っていたMさんのことが好きだった。きっかけは覚えていない。気づけば好きになっていたのだと思う。

ひとつ覚えているのは、彼女とは小学5年までは同じ塾に通っていたのだが、中学受験をしないことを決めた彼女は、小学6年に進級するタイミングで塾をやめたのだ。そのあと、同じ塾の先生から、「もしかして彼女ことが好き?」と聞かれた時に、恥ずかしさのあまり塾の教室で、みながいるなかで机の下に隠れてしまったのだ。強いて言えば、その時に自分でも、好きだということにちゃんと気付いたのだと思う。

結局なにもしないままに、僕は小学校を卒業し、彼女を含め地元のみなとは違う中学に通い、そのあと会ったのは合計で3回くらい(地元の縁日、成人式、25歳くらいの頃の同窓会)だろうか。昔は会いたいと思うこともあったが、今はもうそんな気持ちもどこかに消え去った。

それでも、昔のことを思い出すと、心が温かくなるのはなぜだろうか。