ストーリーからはじまる。

首都圏郊外の山なみが迫る素朴な場所に、評判のレストランがある。文句無しに美味しく、近所に住む人だけでなく他県からわざわざやってくる人もいるとか。ふらっと開店のタイミングで伺ったところ、いきなり「予約はしていますか?」と不意打ちをくらった。予約の時間まで空いている席であれば、という条件付きでなんとか入らせてはくれたのだが。

レストランは大満足なのだが、それにあわせて拡張したであろう小さなショッピングモールが残念なことに寂れている。テナントが並べている商品はこれまた良いのだが、客入りはさっぱりである。うまくレストランとコラボレーションできていれば良いのだが、なんとももったいない。

どうしたらモールが良くなるだろうかと考えていた。いま流行りのインバウンドと結びつけて、海外からのツアー客が立ち寄ったり、泊まったりできる仕様に変えれば話は早いのだが、それはあまりにも拙速であるし、せっかく根づいたレストランの常連客は失望するだろう。やはりなんらかのストーリーがなければ、人はやってこないように思う。地方創生も、観光活性化も人が共感できるようなストーリーづくりからはじまるのだ。