野球部物語③。

(前回から続く)前向きに野球に取り組んでいた僕の風向きが変わり始めたのは1年が終わろうとする頃か、部内に、学校行事との両立をしていたU先輩がいた。その先輩についていくように、僕もその世界に入りはじめた。僕と、同期ながら1年秋から捕手のレギュラーだったI君も、その世界に首を突っ込んだ。母校の学校行事は、そのほぼ全てがいわゆる生徒会によって運営される、珍しい形式を採っている。大変だが、相当やりがいのあるものであった。

違う世界を見た僕は、学校行事の世界に魅せられると同時に、とたんに野球部の世界が色褪せて見えてしまった。今から思えば、それは単に隣の青い芝生を見つけただけに過ぎないものだったのだと言える。今まで考えたこともなかった、野球を続けるのか、辞めるのか、という選択肢が頭の中に浮かんできた。そんななかで、少人数で密度濃く鍛えられた春合宿を過ごし、1つ下の代を迎えるようになった。責任もさらに増すなかで、決断を迫られるようになった。(さらに続く)