野球部物語②。

僕が野球部に入部したのは1998年の4月のことだ。中学には野球部がなく、待望の入部だったと言っていい。一緒に入部した他の14人も同じ気持ちだっただろう。しかしながら、一部の同期が春休みから練習に参加していたのに対して、僕(を含む数人)は入学式以後からの入部であった。どうせ入部してしまえば練習漬けの日々になってしまうからと、春休みは青春18きっぷで旅に出かけたのだ。

1年の間はいろいろありながらも楽しい部活生活だった。厳しい練習もありながらも、仲間どうしで助けあっていた。夏の大会が終わり、新チームが結成され、自分にも少なからず役割が求められるようになり、充実した気持ちもあった。もともと小さい頃から体育会系的な素質は全くなかったが、自分なりにチームのなかで果たせる役割があるのだと思えていた。

冬のトレーニングも苦しかったが、地力がついてきている実感はあった。櫛の歯が抜けるように同期は退部していったが、それだけ残った者は頑張るんだ、という気持ちを高めていた。(続く)