夏の日。

久しぶりに福井出張。米原から山あいを抜けていくと、見慣れた港町が広がる。父方の故郷である。港町からさらに奥、海岸線をへばりつくように国道を車で走らせたところに、故郷の集落がある。

中学生にあがる頃まで、お盆の時期には家族で毎年帰省していた。親戚の子らと一緒に軽トラの荷台に乗って海に出るのだ。ガタガタと荷台に揺られながら入道雲のもと、田んぼの畦道を進むのは、まぎれもない夏休みの景色だった。僕らは都会の子でしかも引っ込み思案だったのだけど、それを差引いても田舎で過ごす数日間は楽しいものだった。山の中の温泉、廃線跡のトンネル、食卓にあがるのは見たこともない魚。おじいちゃんのお腹にあった弾痕。。

ワクワクしながら過ごした夏の記憶は、数十年経ってもしっかりと脳裏に刻まれている。他のどの季節でもない、夏だからこそ、という要素も多分にあるのだろう。息子にも同じような経験をさせてやれるだろうか。そろそろこの夏の予定を考えなければならん。