もうひと手間。

「もうひと手間をかければ、うまくやれそうなのに、その余裕が持てない、もしくはそのひと手間を面倒くさいと思ってしまう」ことが最近多すぎる。そうやって、みすみすチャンスを逃してしまうことばかりだ。仕事のことも、家族のことも、友人のことも。

当然のごとく時間は有限であるし、精神力もまた有限である。ひとつのことに注力しようとすれば、他のことはある程度諦めざるをえない。なにを優先するか、自分のなかではっきりと順位づけができていたとしても、逃してしまった魚のことを考えると悔しい気持ちになる。なにもかもが中途半端に終わってしまえばその気持ちはひとしお強くなる。

せめて、なにを優先するか、という順位づけくらいは、ゆっくりと判断する時間を持ちたい。思慮深さもなしに毎日を流されていくことほどもったいないことはないし、過ぎ去った時間をこれで良かったのだと無理やり自分で納得させることもしたくない。そして、その結果として、両手のすき間からこぼれ落ちていたものを、少しでもこぼさないようにできればいいのだが。