このごろ、最寄の駅前の路地に、新興系の大手不動産会社(小説「狭小邸宅」のモデルとなった)社員がサンドイッチマンになってチラシを配っている姿をよく見る。昨日などは至近距離に2人の営業マンが立っていたので、ついつい話を聞いてしまった。
彼らは2人とも同じ営業センターに所属している。共に黒く日焼けして、仕立ての良さそうなスーツをビシッと着込んでおり、胸には会社のロゴが描かれたバッジを付けている。
話し方はこなれており、2年目か3年目といったところか。近隣の戸建を扱っているようだ。よく通る道沿いにその会社が手掛けている分譲地があることを知っていたので、あそこはどうなのか、と聞くと、完売しました、とのこと。代わりに別の物件を勧めてきた。
ひとしきり話を聞いて、近くに立っていたもう1人にも声をかけてみたところ、違う物件を紹介された。営業マンによって扱っている物件が異なるということか。2人はライバル同士なのかな、といぶかしく思った。
帰宅してチラシをよく見てみる。改めて数字で確認すると、びっくりするくらい土地面積が狭く、まさにペンシルハウスと言うほかない。たったこれだけの土地に何千万もつぎこむのか、と考えるとやはり、このあたりで家を構える気にはなれない。そろそろ賃貸暮らしも卒業したいとはいえ、悩ましいところだ。