必死で働いた後の酒。

東北の空は昨日とはうって変わって低く、どんよりと曇っている。久しぶりに迎えるホテルのベッドでの目覚めは良くない。深酒してしまったようだ。酒席の途中でトイレに立った時に、すぅっと血の気が引いていく感覚に襲われた記憶が蘇ってくる。この感覚は年に一度あるかないかというレベルのものだ。

★★★

昨年秋から追いかけてきた案件が昨日大詰めを迎えた。出張先で何カ所かと連絡を取りながら事態の行く末を見守る。からだ中にアドレナリンが噴出していることを感じる。オフィスに残っている同僚に電話で話す、自分の声が弾んでいることに気づく。

勝ちたいという気持ちが自分のなかに充満している一方で、負けたら仕方がないといい聞かせているもう1人の自分がいる。負けを覚悟して、それでも自分のやれる手は打っておこうと、淡々と、しかし気持ちをこめて、大きく息を吸って、一本の電話をかける。

全てのことを終え、いったん解放された時に、生きていること、そして何よりも自分が仕事を楽しんでいることを実感する。

★★★

帰りの新幹線で眠りこむ。目を覚めると、東京の街並みのなかに戻っている。