おばあちゃんの物語。
おばあちゃんが亡くなって6週間になる。四十九日ももうすぐだ。
ひとつ悔いが残るのは、もっと昔のことを聞いておけばよかったということ。終戦後に大阪に嫁いで、わずか31歳で未亡人になり、そこから女手ひとつで2人の息子を育ててきた。晩年こそ落ち着いたものであったが、40代半ばまではずっと大変な生活だったそうだ。終わってしまえばそれもまた思い出なのだろうが、その物語を聞かずじまいになってしまった。ここ2〜3年、大阪に帰るたびに聞こう聞こうとは思いながらも、気恥ずかしさだったり、どんな反応が返ってくるか予想もつかなかったり、ついつい実家に帰ると気が緩んで意志が揺らいだりで、ずっと先延ばしにしてしまっていた。
おばあちゃん自身は、自分の生きた物語を後世に残したいという気持ちはあったのだろうか。今となってはわからないし、そもそも言葉にしてしまうと野暮になってしまうものなのかもしれない。それでも聞いておけばよかったと思う。