長年僕がかかわってきた仕事は、ものすごく飾り立てれば人助けと表現することもできるし、えげつない金儲けと言ってしまうこともできる。おそらく真実はその間で常に揺れ動いている。
人にどんな仕事かを説明する時に、えげつない金儲けですとは言いにくい。かといって美辞麗句で飾り立てるのはこそばゆい。表向きのイメージはきれいにしておきながらその実はえげつないことをやっていると言っても間違いではない。そんな現実を思い起こすと、本音と建て前の使い分けように我ながら不快感を催す。
かといってえげつない金儲けと言うには気が引けるのは、そこにいくばくかの良心が残っているからに他ならない。そしてその良心こそが仕事をやる上でのモチベーションになっているのも正直なところだ。自分のためだけでなく、(たとえ少しでも)他人のためにもなっていると思えなければ、仕事のモチベーションは維持できない。
どちらに振れても残る気持ち悪さ、歯切れの悪さを飼い慣らしやっていくしかないのだと思う。どちらかにぴったりと寄せて言い切ることはできない。金儲けを度外視して人のためだけに動くことは誰のためにもならないし、そもそもどんな経済活動も自らの金儲け以上の効果を社会にもたらすはずだ。