口下手。

営業に必要なのは雑談力だ、などとよく言われる。雑談のなかから相手の価値判断の基準を掴みさえすれば、商材自体の話をしなくとも良い。価値判断に沿う形で商材を当てはめれば自ずと自社を選んでもらえる、という訳だ。

しかしながら僕は雑談ができない。全くできないというわけではないのだが、さぁ雑談をしようと構えると上手くいかない。雑談のジャンルにもいろいろあり、人によってどのジャンルがツボにはまるかは分からない。ツボが分からない状態で雑談をふってみて、外した時のことが怖い。なのでいきおい営業の面談では挨拶もそこそこに本題に入ることが多い。

本題にしても、自分からべらべらしゃべり続けるのは好きでない。話の流れ上自分の方が多弁になってしまうと、罪悪感を覚える。自分のつまらない話で相手の時間を奪ってしまった、と思ってしまう。なので基本的にはこちらから聞くスタイルの面談になる。まだまだ99%の面談は相手の方が年上なので、こちらからずけずけと聞いてもたいていは嫌な顔をせず答えてくれることが多い。そうなると、あぁ多少は自分のことを信頼してくれたから答えてくれたのかな、という安心感が生まれて、少しだけこちらも口滑らかになってくる。相手のツボが理解できれば、面談の最後になってはじめて雑談をはさむこともある。

歳も重ねていくわけで、いつまでもこの芸風でいけるとは思えないけど、口下手は口下手なりにやるしかない。