家族。

1月、真冬のさなか、翌日から1泊でスキーに出かけようかというその時に、彼はやってきた。その日から、正確にはその日のもう少し前からわが家は3人家族になった。3人で数えきれないくらいの話をして、心拍を聴いて、コツンと叩くと返ってくる反応を感じた。しゃっくりや、オシッコをした後に身体をふるわせているさまも伝わってきた。

家族写真もたくさん撮った。お腹のなかにいる時の歳の数え方はちょっと特別だけど、毎週着実に育っていることを確認しては喜び、みんなで写真を撮った。家だけでなく、いろんなところに出掛けて写真を撮った。

いろんな人が、家族が増えることを喜んでくれた。きっとその誰もが、喜びに包まれてこの世界に生まれてきたのだと思う。そのことに思いを馳せると、この世界がどれほどの重みを持っていま存在しているのか、という事実にクラクラする。たとえそれが神さまがフッと息を吹けば飛ぶようなものだとしても。

もうすぐ、彼は目の前に姿を現す。のんびり屋なんだろうか、ずいぶんとお母さんのお腹のなかにいた。ようやく、ようやくだ。でも本当は、とうの昔から僕らは既にひとつの家族だったのだ。