神児。

ままならぬことを受け入れようとする心と、ままならぬことに我慢ができず全てを投げ出したくなる心とがせめぎ合うことがある。普段僕は努めて淡々と生きるようにしているが、ふとした時に後者の気持ちが湧き上がってくるのを抑えられず、気持ちを爆発させてしまったり(とはいえ意気地なしなので、大爆発とはいかず中途半端にとどまるのだが)、湧き上がった気持ちを変なところで発散させてしまったりということがたまにある。

久しぶりにエヴァを振り返ってみたら、エヴァのストーリーは、碇シンジ自身が、先にあげた葛藤と向き合う流れをプロットしたものなのだと気付いた。家庭環境もあって、たびたび全てを投げ出したくなる心になびいていくシンジの姿が描かれ、そのシンジの心の動きと人類補完計画とがクロスしていく。究極の状態にまで達した後に、シンジは最後に前者の道を選ぶ。

シンジは前者の道を選んだが、エヴァ自体が前者の道を薦めているわけではない。あくまでそれは個々人の選択として見るものの心に提示されているだけだ。どんな命題も、答えはひとつではないし、どれが正解ということもない。ただ、選んだ答えに応じた結果が用意されてあるだけだ。