裸足。
友人宅に泊まって、田圃のあぜ道を歩いた。
稲穂が綺麗に並んでいる。稲穂の先についた籾を手で触ると、しっかりとした粒の感覚が気持ちよい。農作物は数あれど、コメほどに美しく実る作物はないように思う。稲穂の足元にはたっぷりと水が張られていて、水面には無数の水草が浮かび、水草の葉がタイルのように模様を作っている。無数のタイルが水面を埋め尽くして、その上をまるで土の上であるかのように虫が移動している。緑が鮮やかな蛙が一匹、また一匹と水面から飛び出す。
途中から裸足になってあぜ道を歩く。ほどよい湿り気をふくんだ草はひんやりと足に優しい。草の種類によって感触が変わって面白い。一方で土からは、大地の持つ熱が伝播してくる。物理的に感じる熱に加えて、計り知れないエネルギーが感じられる。そして砂利道を歩くのは痛い。石が足裏に効いてくる。しかしながら、しばらくするとその痛みにも慣れてくる。道路に出ると、アスファルトの硬さに驚く。
ただ歩いているだけなのに、身体があったかくなり呼吸が荒くなっていた。エネルギーを受け取るだけでなく、不用なものが身体から吸い取られていったようにも思う。