ギア。
この勝負には勝ちたい、と思う時に指先が震えて、自分でも意図していなかったうっかりをしてしまうことがある。平常心で臨めば結果が出ていたであろう勝負を落としてしまうのはなんとも悔しい。大事な勝負を落として、諦めの境地で臨んだ時に限って、期せずして勝ちを掴むこともあり、うまくいかないようにできているな、と感じたりもする。
しかしながらやっぱり、いつも平常心でいれば結果を出せる、とも思わない。平常心を失ってしまうほどの気負いがあってこそ、勝ちにつながる道筋を見つけて、掴んだ勝ちを逃さない粘り強さを発揮できるのだと思っている。平常心だけでは、最後の最後で震えてしまって負ける、というところまでそもそも到達しないのだと思う。
小さな勝負ごとも、人生を左右する選択も、その本質は変わらないのだと思う。精神のギアをその都度上げなければ、目の前にある次の坂を登りきることはできない。ギアを上げるということをしなければいつまで経ってもその場所を脱することはできない。
間断なくギアを上げ続けられる人もいれば、一度ギアを入れると一休みしなければならない人もいる。僕は後者のタイプだから、どこでここぞとばかりにギアを入れるといいのか、そのことばかり考えているような気がする。