国本。

ごひいきの焼肉店に行く。1〜2ヶ月に一回くらいのペースで行っているので、そろそろ常連の仲間入りをさせてもらえるだろうか。

肉も文句なしに美味しいのだが、焼肉店の二代目の長男が僕はたいそう気に入っている。僕と同い年なのだが、接客のひとつ一つが馬鹿丁寧(もちろんいい意味で!)なのだ。

短髪ながらいつも前髪をきっちりと固めている彼は、いつも大またでゆっくりと、まるで怪獣の登場シーンのような雰囲気をまとって僕の座っているテーブルにやってくる。この店のテーブルには、のれんが掛けられていて半個室のようになっており、店員さんの姿は下半身でしかわからないのだが、その歩き方だけですぐに彼がやってきたのだとわかる。

そうしてのれんの間から彼がぬっと顔を出して、オーダーした肉やらサイドメニューが運ばれてくる。彼は渋みのある顔をして、丁寧に品を運び、一呼吸おいて丁寧に空いた皿を下げる。一連の動作はけして華麗ではないけれども、彼らしい真面目さをとことん突き詰めて洗練させたサービスだと思っている。

いつか彼が店を継いでいまの大将くらいの年齢になるまで、通い続けられればいいのだけど。