自然。

(昨日の続き)深夜ぎりぎりまで窓から外を眺めて眠りに堕ちる。夜明けごろ珍しい虫の鳴き声が聴こえてきて起こされるが、不快感はなくいつしかまた眠っていた。

翌朝目が覚めると、一枚窓の向こうに息をのむような木もれ日の風景が広がっていて、思わず声をあげた。見ようによってはなんの変哲もない景色なのに、どうして感動してしまうのだろう。

目覚めた瞬間だけでなくて、いろんな場面で自然の美しさにはっとする。野山に入れば普通に目にするようなもののはずなのに、この時に限って心に響いてくるのは、自分のなかでそういうマインドセットができていて思い込んでしまうせいだろうか。旅館側としてもある程度敷地の手入れはしているのだろうけど、人間が自然をコントロールするという発想だと、こんな美しさは生まれてくるはずもない。あくまで人間が自然の力を借りる、という立場で自然と向き合っているからこそ、木々も水も動物たちも魅力的な姿を見せてくれるのだと思う。

20時間の滞在を終えて、旅館を後にする。次にこれだけゆっくりできるのはどのくらい先の話になるかな、と思いながら宮城から東京へ戻る。今度機会があるならば、雪に包まれた冬の時期に来てみたい。