産生。

「うまれる」という映画の自主上映会に行ってきた。命をうむことについて、4組の夫婦それぞれの物語がかわるがわるにつながれていくドキュメンタリー作品である。

助産院でのリアルな出産のシーン、障がいを持って生まれてきた子とともに時間を歩んでいく夫婦の姿、不妊治療に挑みながらも子どもを持つことができなかった夫婦の考え方、見てよかったと思うシーンはいくつもあった。それにもまして1番心に残ったのは、出産予定日にお腹のなかの赤ちゃんの心拍が止まってしまった夫婦のエピソードだった。

産声をあげず目を閉じたまま母親のお腹から出てきた赤ちゃんと、夫婦が寄り添って写っている写真のシーン。赤ちゃんの顔色はそれほど悪くなく、眠っていると言われても全く違和感がない。夫婦の顔は微笑んでいる。この瞬間、赤ちゃんがお腹のなかから出てきて、抱きしめられて、別れることになるまでの時間、嬉しい悲しいといった言葉とは全く次元の違う、想像のつかないような感情が詰まっているように見えた。

作品としては、多少スピリチュアルな要素も詰まっていたかもしれない。でも、そういう要素が人を救うこともあるのだと思う。