空腹と空腹感と。

じわじわと体重が増加している。食べる量はむしろ減っているのだが、それ以上に代謝も落ちているようで、身体に肉がついてきている。20歳の頃と比べれば10kg近く増えているはずだ。

日曜日、妻はまる1日の外出になり1人で過ごすことになったので、久しぶりに夜まで食事を抜いてみた。1人暮らしの頃は予定のない休日に食事を抜くことはあったが、それ以来のはずだ。1人暮らしの頃はそもそも家に食材をほとんど置いていなかったので、絶食へのハードルは低かったのだが、家に食べものが常にある状態になると、食事を抜くということへのハードルはなかなか高くなる。

最初は運動もするつもりだったが、このところ平日は都内を歩き回ることが多く脚に疲れが残っているので、外にも出ず家のなかで過ごす。水分も摂っていなかったのでさすがに渇きを覚えて水を飲むと、身体に水が染み込んでいくさまがよくわかる。胃腸も使わないし、筋肉も使わないのできょうは身体が完全にオフだ。

朝目覚めた頃はそれなりにお腹がゴロゴロ鳴っていたのだが、正午を過ぎるとお腹も鳴らなくなる。身体が軽くなってきて気持ちが良いが、ためしに体重を測ってみてもそこまで減ってはいないし、お腹周りの皮下脂肪も相変わらずついている。

空腹が重たくなってくると、お腹を空かせていた頃を思い出す。中学生の頃は昼休みが待ちきれなかった。ことに1時間目の授業が体育だったりするも、2時間目には早くも胃の中を空気が泳ぐ感覚があった。そこから12時30分までが長かった。高校に入ってからもよくお腹が空いていたが、買い食いができるようになったので空腹を耐えた記憶はあまりない。大学生、社会人になると自分のペースでものごとを進められるので意識して空腹を感じることはなくなった。人間、自分で行動をコントロールできない状況下に陥り、かつ手持ち無沙汰だと空腹だったり身体の変調をより感じられるようになるのだと思う。たまに夜ベッドに入って空腹を覚えると眠れなくなるのはそのせいかもしれない。

空腹感を覚えていた中学生時代と、空腹感を覚えることがあまりなくなった今と、どちらがいいのだろう。表面的には自由を獲得した今の方が良いのだろう。ただ、縛られていたからこそ感じていたこともあった。自由を獲得したから気付けなくなったこともあった。

夜になって24時間ぶりの食事。甘いものも一緒に摂る。今夜はぐっすりと眠れそうだ。