小保方さんに引き込まれた。

週末にかけてよってたかって報道がなされる状況で自分もそれに乗っかるのははしたないと思いつつも、感じたことがあるので書いておきたい。

外出の合間に立ち寄ったソフトバンクショップで、小保方さんの記者会見が流れていた。夜の報道番組でも繰り返し会見のダイジェストを見た(余談だが、古舘伊知郎がパワーポイントを知らないということにもあわせて衝撃を受けた)。なぜここまでこの人の話題が盛り上がったの、とニュースを見ながら妻に聞かれた。即答はできなかったが、細胞のSTAP現象が本当に存在するかどうかという事象に興味があるのではなく、小保方さんが若くて可愛い研究者だったからだ。身も蓋もないがそういうことなのだ。

そして会見の内容の真偽はともかくとして、小保方さんという30歳の女性が少しやつれた感じで、時折言葉を詰まらせたり息遣いをマイク越しに伝えながら、涙声で話す姿、凛として自分の主張を通そうとする姿に正直に言って心を動かされた。主張自体には僕から見ても稚拙さがあったが、それはロジックをもって悪意があると証明することは不可能に近いような、袋小路に入り組んだ話であり、もしこの一連の研究に悪意もしくはやむにやまれない状況のなかでのごまかしがあったとしても、過ちは誰にでもあるのだからやり直して頑張ればいい、と応援したくなる気持ちを抑えずにはいられなくなるような、そんな気持ちが自分のなかから湧いてきた。

本人自身がそれをどこまで意図していたかどうかはわからないが、小保方さん自身が年初からここまで時の人となったのは研究内容もさることながら、割烹着やムーミン、指輪や巻き髪といったサイドアイテムをマスメディアが取り上げたことが大きい。本人はそのように売り出されることは不本意だったのかもしれないが、一躍時の人になるにあたってこのサイドアイテムならびに彼女の容姿は紛れもなく武器であった。武器を使う意図が本人にあるのならば、武器は使ってしかるべきだ。あえて自分の持っている武器は使わない、あくまで中身で評価してほしい、という信念を貫いたり、中身を見ずに容姿やエピソードばかりを盛り立てるメディアのやり方を非難する、という選択肢もあってしかるべきだとも思うが、自分の持っている武器を適切に把握し使えるということも立派な才能であり、否定されるべきものではないし、これは差別とも違う。

そういう意味で、小保方さんの会見は立派だった。自分が一度あげたスタンスを崩すことなく、体調を崩しても自分の信念を演じきった(ここでの「演じる」はけして悪い意味で使われる言葉ではない)。真偽がいずれに存していたとしても、彼女は凄い(月並みな言葉だが)才能を持った人だと思う。ドラマよりもはるかに引き込まれる記者会見だった。

こんな感想だけだとアレなのでまた別の視点から後日に。