米という贅沢品。

我が家ではいつも2kgずつお米を買っているのだが、基本的に2週間ごとに買うことになる。1日1合強、週に4〜5日ほど食べればなくなる計算なわけで、実態に即している。

2kgのお米は大体700円〜900円くらいだろうか。もっと大きなサイズで買っておいてもよいのだが、持ち運びが面倒なのと、精米から日のないものをできれば食べたいので、多少割高になることを承知で小さいサイズでこまめに買っているのだ。

しかしそれでも米は高いように感じる。ほぼ毎日食べる主食であるから仕方ないのだが、一品が500円を越えることのまずない食料品の買い物において、米の存在は目立つ。1合換算だと60円〜80円くらいにはなるだろうか。飲食店でごはん大盛りとなると50円〜100円増しになるのは理にかなっているというわけだ。

話は少しそれるが、西日本ではさらに1〜2割くらい米の価格は上がっているように思う。まずもって西日本産の米自体が高い。これは西日本の米作が基本的に小規模で行われていることに起因している。平地が限られ、その数少ない平地が住宅や工場として活用されがちな西日本では、米どころである東北によく見られるような、見渡す限り水田が広がっているという風景をあまり見ない。せいぜい福井県くらいだろうか。米はかさばるので、東日本の米どころから運んでくるにしてもそれなりにコストがかかる。

そんなこんなで、米はけして安価な食べものではなくなっているのである。どんなに安い米であっても1合50円を切ることはない。これが紛れもなく、わが国の農業政策がコメを基幹産業として保護し、輸入品に800%近い関税をかけていることの帰結なのである。ちなみに同じ穀類で言えば、小麦でつくられるうどんやパスタは1食分で50円もしないだろう。食パンにしても、最も安いものであれば50円あれば1/2斤は食べられる。ちなみに世界的に見れば米は安価な食物で、ベトナムなどでは1kg数十円が相場である。日本だけが異常なのだ。

若者の米離れなどと言われるが、食生活スタイルの変化どうこうと言うよりも、そもそも米が贅沢品に近づきつつあるのではないか、と思う。生活保護水準にある家庭や、ひとり暮らしの若者にとって、同じ主食でこれだけコストが違えば、あえて、もしくはやむにやまれず米を食べないという選択を取らざる得なくなってくることは充分考えられるし、もしかすると高齢者層でもそのような行動をとる人が増えてくるかもしれない。米という産業を守るための政策を推し進めた結果、米がもはや国民全員にとって手が届く食材ではなくなっている、という事態が示唆することはあると思う。