Switch.

3日間に及ぶ関西出張が終了。どこに行っても紅葉真っ盛りの季節である。天気も良く空気が澄んでいる。そしてどこに行っても人が多い。以前のブログで、新幹線は指定席を取らない方がいいと書いたが、前言を撤回しかなければならないと思う。指定席と自由席にかかわらず3人がけのシートの真ん中の席まで埋まっていることが多い。在来線や私鉄にしても、行楽とおぼしきシニア層の方たちの姿が目立つ。年末が近くなってきて、ホテルも取りにくくなってきた。外食小売りを含めサービス業は景気が良いのは間違いない。消費税増税前の駆け込み需要で一部業界が潤い、その余波を良くも悪くも受けているところもあるのかもしれないが、全般的には堅調に推移している。

★★★

忙しいという言葉は、その言葉の通り心を亡くしてしまっているように思えて悲しくなるのでできるだけ使いたくないのだけど、確かに今は忙しい。おかげで平日は仕事のことで頭がいっぱいで、ブログを書くモードへと頭を切り替えられるのは週に一度くらいである。そんなわけで最近は休日にブログを書き溜めていることが多い。それくらいならいっそのことやめてしまえばいいのだけど、忙しくても日々思ったことや考えたことは溜まっていく(ということはまだ心が亡くなっている状態ではない、本当に忙しいわけではない、とも言える)ので、どこかでその澱を吐き出してあげなければならなくて、しこしことブログを書き続けている。

とはいえ、金曜の夜この時間帯には、心のなかに溜まった澱はまだ形をなしていない。今週もいろいろなことがあったけれど、それらは自分のなかでまだ消化されずに脳内を漂っているがゆえに、文章に引き直すことができない。ましてや脳は仕事の追い込みによってヒートアップしたまま冷めやらぬ状態である。

デッキで電話し続けた行きの新幹線、色とりどりの紅葉、朝の奈良盆地の張り詰めた冷気、走り抜けた烏丸の地下道、湯気の立ち昇る錦市場イノダコーヒーの温かい灯り、柳馬場三条の路地に見上げたクリスマスツリー、数週間ぶりの実家と家族、地元の飲み屋で咲いた会話、山椒の効いた麻婆豆腐、てくてく歩いた上町台地、うらぶれた大阪東通り、帰りの新幹線寝起きにブラインドを上げれば広がっていた茶畑、そして目の前の案件たち。それらがぐるぐるとまわって、未だ意味を持たず僕の脳内に横たわっている。静寂のなかに時計の針がまわる音と洗濯機がまわる音だけが聴こえてくる。週末がやってくる。