脱マルチタスク。

最近「ながら」行動を意識して減らすようにしている。スマホを持ってから、スマホを見ながら○○する、などということが増えていたし、仕事でも肩で受話器挟みながらメールを打つなんていうこともやっていたが、最近はそういうことが随分と減った。本やWebの文章を読むときはテレビや音楽を消して、物音のしない寝室にもぐりこむし、人と話す時にも、話をしながら頭のなかで他のことを考えていたり、というようなことは極力止めるようにした。

変化の原因としては、僕自身がマルチタスクでものごとを進めるのが元来苦手ということもある。同時に2つのことをすれば時間を2倍有効活用できたような気分になるが、僕の場合実際のところの作業効率は半分以下に落ちているように思う。なによりも、片手間にものごとを進めていると、頭のなかに全く定着しない。平日は仕事以外でコラム記事を60本とブログ記事を70本くらい読むようにしているのだが、読むときに集中しているか、他のことをしながら読んでいるかで、寝る前に記事のタイトルを見返して内容を思い出せる度合いが全く違ってくる。集中せずにただ文字を目で追っているだけならばまるっきり時間の無駄である。

人と話す時も、心ここにあらずの状態になっていれば、それは必ず相手にも伝わっている。営業でも、恋人と話す時でも、果ては赤ちゃんに話しかける時でさえも、おざなりな対応をしていれば相手はそれを敏感に感じ取る。そうなれば伝えたいことがあっても通じないだろうし、相手の心がこちらを向いてくれることはない。どんなに話の内容が稚拙であっても、片時も目を離さず、心を相手に向けていれば相手の心に届くものがある。聞くほうも、全身全霊を傾けて相手の言葉を受け取ってみれば、相手にその凄味が伝わる。営業でも恋愛でも、そうやって相手の心のなかに自分の残像を残すことができれば、八割がた成功したようなものだと思う。それが口で言うほど簡単なことではないし、僕自身も全然実践できていないのだが。しかし簡単なことでないからこそ価値と効果があるのだと思う。

集中するということはまた、先入観や固定観念を排することにもつながると思う。これはこういうものだ、などと思ってしまった途端に、集中力は低下する。逆にそれらを排してものごとに向き合えば、新しい発見につながるかもしれない。そのような姿勢を持っていれば、毎日が実りある豊かなものになるのだと思う。