古い名刺。

今週はバタバタと過ぎてしまった。オフシーズンなのでもう少しじっくりと仕事できるかと思った当てが外れた。ひとつひとつの仕事を咀嚼して自分のものにしないと気持ちが乗らない性格なので、矢継ぎ早にいろんな案件がくるのはあまりいい気がしない。かといってなにもいい話がないのも困るという、ヌエのような要望なのだが。案件が立て込んでいる時でも感度やパフォーマンスを落とさずに取り組めるようになるのが課題だ。

★★★

名刺入れに、あるファンドマネジャーの名刺が入っている。3年近く前の講演会で頂いたものだ。名刺交換をして少し話させてもらったのだが、あの頃は今よりもいろんな迷いがあって、それが表情にも出ていたのだろうか、こちらからなにかを話さずともいろいろと励ましの言葉をかけてもらった。それからずっと名刺入れのなかにその方の名刺を入れている。名刺入れの中身をファイルに移しかえて整理する時にはいつも、その方の名刺がちらりと見えて気が引き締まる。

かつてはその方と一緒に働きたいなどと思ったこともあったが、あれから曲がりなりにも少しは自分のポジションも、精神的にも落ち着いてきて、今は決めた道を一歩ずつ進んでいる途中なのだと思う。いつかその方と本業のほうで名刺交換できる日が来れば、古い名刺を取り出して、あれからのことを話せればいいなと思う。そんな機会が訪れるようにするためには、もっと仕事の幅を拡げていかなければならないし、まだまだ勉強が必要だ。

ジョブスの"connecting the dots"ではないけれど、どこで何が繋がるかはわからない。昔のつながりや取り組んだことの蓄積から新しいものが生まれることは少なくないが、ただ漫然としていても新しいものが生まれるはずはなくて、昔のつながりや取り組んだことに対する姿勢が重要なのだろう、そのセンスが、自分はまだまだ足りないと感じているし、それどころか過去に蓋をしてしまっていることすらあるとも思う。

どんなについていない人間でも、日々シャワーのように多くのチャンスを得ているはずだと僕は思う。そのチャンスをどれだけ丁寧に掴み取れたか、掴み取れなかったか、その繰り返しによってどんな結果になるかは大きく変わってくる。全部が全部のチャンスを掴みにいく必要はないだろうけど、先入観や思い込みに囚われてチャンスを見て見ぬふりして逃してしまってはいないか。不必要に自分で自分を縛っていないか、あの名刺を見ると思い出す。