ユーフォリア。

2013年がやってきた。
時間は万人に公平に与えられている。
負った傷を癒してくれる1番の薬は時間だけれども、
一方で時間が残酷な答えを突き付けてくることもある。
時間をコントロールすることは誰にもできない、時間から自由になることもできない。

★★★

お正月の風景が、年々昭和の時代のそれに戻っているように見える。それは、自分自身ならびに自分の周りの人が歳をとっているからか、お正月以外の日常風景が未来に進んでいるからこそ、相対的に古めかしく見えるのか。「日本を、取り戻す」と言って政権を取り戻した党があったけれど、その言葉の通り、人々は古き(良き?)時代に戻り、それを陶酔しているかのように思う。それがつかの間の幸せに過ぎないのか、少し長く続く蜜月期になるのか、はたまた着実な歩みにつながっていくのかはわからない。時間が答えを用意してくれる。優しく傷を癒してくれるか、残酷な現実を突き付けてくるか。

30歳になった。18歳あるいは22歳の頃と比べると、ずいぶん人生の選択肢が狭くなったように思う。もちろん今から新しいことに飛び込んだりすることもできなくはないけれど、これまでそれなりに蓄えてきた経験値やスキルを手放すコストやリスクは高い。これは仕事だけではなくて、趣味やライフスタイルや人づきあいについてもそうだ。放っておくとどんどん保守的になっていく。ふと振り返ってみて、あの時に何気なく、よく考えずに選択してしまった決断が、今になってこれほど大きく響くのか、なんて噛みしめたりもする。若いということはそれだけで財産だ、という言葉の意味がようやくわかってくる。

しかしながら、人生の選択肢が狭くなったことイコール悲しむべきこと、と言うわけではないと思う。18歳あるいは22歳の頃は、選び取るべき選択肢はたくさんあったけれども、それは裏を返せば何にも特化していない状態であった。そこから、選択肢は狭くなったけれども、選ばなかった人生の分だけ、選んだ人生を深めることができたのだと思うしかない。そして、少なくなったとはいえまだまだ選択肢はたくさん用意されている。後悔するにも喜ぶにもまだ早すぎる。

★★★

2013年が動き出そうとしている。
時間は残酷に流れていくけれども、年に一度、リセットして真っ白な時間から歩み出すチャンスを与えてもらえる。それは本当におめでたいことだと思う。
仮初めのユーフォリアから目を醒まして、選んだ人生を歩んでいく、新しい一年が始まる。