家族のかたち。

弟が結婚することは半年前から聞いていた。一度一緒に食事をしたことがあったが、この週末に久しぶりに会うことになった。僕の結婚式2次会には来ていたのだが、実質的には会うのは2度目になる。くりくりとした目が印象的な、弟と雰囲気の似ている落ち着いた人だ。

結婚式の衣装合わせをするそうなので、これまた僕の結婚式以来約半年ぶりに両親が上京してきた。うちの両親は妙な部分において心配性なところがあり、結婚式で親類を招待するホテルには予行演習として先に泊まって彼らになり色々とチェックしておかなければ気が済まないのだ。僕らの時もわざわざ3週間前に上京してきた。それで気が済むのであればまぁいいのだが。

衣装合わせが終わる頃に僕ら夫婦がホテルに行って合流し、合計6人で弟夫婦の新居訪問となった。普段仕事以外では全く行くことのない、東京の東側の街。マンションの高層階からは晴れやかな秋の空が広がって、スカイツリーと東京都心のビル街がよく見える。隅田川の花火もよく見えるそうだ。個人的にヒトとして4階よりも高いところに住むのは好きではないのだが、これだけ景色のいいところに住むのは気持ちが良いだろうな、と思う。

新居でお茶をしてから浅草に向かう。歩いている時は6人がバラバラに交じりあうが、地下鉄に乗っている時は、6人が3組の夫婦に分かれて別々のところに立ったり座ったりして、別々に話をしている。弟夫婦は少し離れたところで楽しそうに話を交わしている。その昔子どもの頃、家族4人で一緒に電車に乗っていたことを思い出して不思議な気持ちになる。

浅草で少々観光をして夕食を予定している店に入る。もともと実家での飲酒習慣がない僕にとって、家族とお酒を飲むこと自体が珍しい。うちの父親は比較的ものごとの選択が保守的なので、お酒の選択にしても、それほど酒飲みでもない僕のほうが知っていることも多くなった。生まれた時代と環境の違いもあるだろうけど、僕の方がよく知っていることも随分と増えたのではないかと思う。両親はまだまだいたって健康だが、それでもこれからは人生の終わりを少しずつ意識して過ごしていくステージに入っているのだろう。

幼い頃からの選りすぐった写真を、両親が大阪から持ってきて弟に渡していた。家族4人の写真が何枚か入っていた。4人で築いていた世界が散り散りになって2人×3になった。食事を切り上げて、帰り道がそれぞれ3方向に分かれた。