「ブータン、これでいいのだ」
御手洗瑞子さんの「ブータンこれでいいのだ」
- 作者: 御手洗瑞子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/02/01
- メディア: 単行本
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いきなりブータンから話は飛ぶが、中東の大使館に勤めている友人から、かの国(および周辺の産油国)では長らく原油の採掘によってあくせく学んだり働かなくとも豊かな国民生活が保たれてきたが、いつか来るであろう、脱石油時代もしくは、国内の資源が枯渇した場合に備えて、原油採掘に代わる国内産業の育成と、人材の育成が課題となっている、という話を聞いた。
似たような話として、ナウルのケースがある。「ユートピアの崩壊 ナウル共和国」
ユートピアの崩壊 ナウル共和国―世界一裕福な島国が最貧国に転落するまで
- 作者: リュック・フォリエ,Luc Folliet,林昌宏
- 出版社/メーカー: 新泉社
- 発売日: 2011/01/28
- メディア: 単行本
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ナウルはダメな国、と言えばそこまでなのだろうけど、ダメな国であることは悪いことなのだろうか。日本人からしたらナウルの人たちの思考回路は理解できない、とばっさり言うこともできる。長らく続く原油価格の高騰を受けて、産油国の繁栄は続いているが、果たして脱石油時代になったときに、かの国々は思い描くように新しい産業構造へとうまく離陸できるだろうか。
去年から、日本ではブータンのことがもてはやされている。福島県飯館村の採用試験の論述問題のテーマに、ブータンが用いられたそうだ。ブータンの素晴らしい、それに引き換え日本はダメな国だ、というトーンの話をよく聞く。
「ブータン、これでいいのだ」はもちろんブータンのことを描いた本だけど、その内容から発されるメッセージは、ブータンを越えて、読み手が心を寄せる国(例えば僕なら日本)に届いているのではないかなぁと思う。日本だけでなく、翻訳されて世界中の人が読んでくれたら素敵だな、と思った。
最後にひとつ、表紙の題目の字体がなんともイイ!!