失われた20年と中堅企業の躍進。

日経平均株価は大幅上昇、ドル円もユーロ円も円安方向に振れてきていて、いよいよ日本経済にも追い風が吹きそうな兆しが見えてきた、などと言ってしまうとまた大きく頭を打たれるのだろうが、実際身の回りでも少しずつ良い兆しが見えるようになってきた。今までが「逆バブル」のように沈みっぱなしだっただけに、多少はリバウンドを期待してもばちは当たらないんではなかろうか。

行き帰りの電車のなかにリクルートスーツの学生がちらほらと見られるようになってきた。説明会シーズンなのだろうか、たいてい大手企業のロゴの入ったビニール袋などを提げている。就職人気ランキングに並ぶのはやはり銀行や商社などの大企業ばかりだ。メーカーの人気はひと段落したようだ。

銀行はメガバンクに限れば海外展開が実を結びつつあるし、商社はこれまでの円高局面をフル活用して海外投資を立て続けに成功させるお手本のような経営をしている。メーカーに関しても、家電に注力する電機大手3社はコケてしまったが、インフラ投資へといち早くかじを切った日立や東芝はすこぶる好調だ。他分野のメーカーにしても新興国需要を堅実に捉えているように見える。

ということで老舗の大企業もそれなりに頑張ってはいる(たまにオリンパス東京電力のようにふたを空けてみたらびっくり!なんてこともある)のだが、それ以上に中堅規模の企業がここ数年ますます元気になってきているように僕は思う。

中堅規模の企業で今伸びているところというと、ネットショッピング(ZOZOTOWNのスタートトゥディetc)系やGREE,DeNA,mixiといったSNS関連企業が一番に挙げられるが、以外に目立つのは幹線道路のロードサイドやショッピングモールを彩る店舗を運営している企業たちだ。

外食産業といえば、昔はファーストフードやファミレスが主で、後は個人経営の店舗ばかりだったが、さまざまなジャンルでチェーン店が増えた。焼き肉やステーキ店などは本当に選択肢が増えた。その分個人経営の店舗が減って味気ない、と言う向きもあるだろうが、個人経営でも残るところはチェーン店に負けず残っているし、外食をする際の選択肢と質は飛躍的に向上している。回転寿司をはじめ、日本の外食産業は世界に輸出できる立派な商品となった。

他にも、自転車屋のあさひや、JINSジーアイエヌなど、最近ロードサイドやショッピングセンターで人気のある店舗はたくさんある。そして素晴らしいことに、そういった店舗を経営する企業業績は大企業なんて比べ物にならないくらい安定的で好調、株価も堅調なのだ。

失われた20年、なんて言うけれど、身の回りの生活はこの20年でも飛躍的に便利になっているし、その進化を最前線で引っ張っているのは大企業ではなくて中堅企業なのだ、と思っている。