よければ一緒に。

出張前乗りのために夜の東北新幹線に乗る。街の明かりがどんどん少なくなって、やがて漆黒の世界を走るようになる。どんどん東京から離れていく。本もパソコンも持ってきていなくて、考えることもあまりなくて窓の外を見つめているなんて久しぶりだ。昔アジアを夜行バスで旅行していたときに、眠れなくて窓の外の景色をずっと眺めていたことを思い出す。

★★★

この週末で新居に引っ越して5ヶ月。新しい土地での暮らしにもすっかり慣れて、街への愛着も湧いてきた。そしてあと一週間で入籍してから5ヶ月になる。この間ウェディングドレスの衣装合わせをして、半年後に控えた結婚式への実感も少し湧いてくる。

今の奥さんと、普通に付き合っている関係から、一生を共にする関係へとなぜ一歩踏み出そうと思ったのか書いてみようと思う。本来ならこんなところに書くべきことじゃないのだろうな。一生誰にも言わなくてもいいようなことのような気もする。

今の奥さんと付き合いだして、半年ほどした頃に初めて一緒に海外旅行に行った。成田から出国する前日にその頃住んでいた武蔵小山のアパートに前泊することになっていて、いつもうちに彼女が遊びに来る時と同じように、武蔵小山駅まで迎えに行った。深夜の駅、乗っているだろう電車が駅に入ってきた音がしてしばらくして、彼女がめちゃくちゃでかいスーツケースを両手で押しながら出口に向かう登りエスカレーターに乗ろうとしているのが見えた。その時に、なんとも言えない感情が湧きあがってくるのを感じた。この時が、一緒にずっと過ごすのかな、と思いはじめた最初の瞬間だったのかもしれない(あくまで当人は当時無意識だが)。

それから2年以上経って、僕は友人とよく山に登るようになっていた。ある時テントをかついで3人で2泊3日の行程で山に入った。朝方目が冴えてしまって、テントから抜け出してぼんやりと明るくなりつつある東の空を見つめて(ちょうどその方向が東京の方向でもあった)、あぁあそこに早く戻りたいなぁ(注:けして山が嫌いなわけではない笑)という思いがふと湧いてきたときに同時に、彼女ともうずっと一緒にいたいなぁという思いも浮かんできた。一歩踏み出そうとしたことをしっかりと意識したのはこの瞬間だったと思う。

そこからちゃんと結婚することを決めるまでにはさらに1年以上の歳月を必要としたのだけど笑

いかんね、一人で夜の電車に乗っているとろくでもないことばかり思い浮かぶ。おかしな歌でも聞いていたせいだろうか。