きょうときのう。

台風一過の空の下、外房から銚子方面へと出張。早朝の武蔵小杉は雲ひとつない青空に陽射しがさんさんと降り注ぎ、空気中の塵が全て洗い流されて、まるで南の島で朝を迎えたような気分になった。暑いのに空気は爽やかな朝。日本の夏もこうであってほしい。ただし下を向くと、道には木の枝葉が散乱し、公園は水田のように水が貯まっていて、改めて台風の凄さを感じる。

九十九里浜に出ると視界に緑のじゅうたんが開けるが、空にはもくもくと厚い雲が湧きだしてくる。旭市は千葉県内では最も東日本大震災の被害を受けた地域であり、海岸沿いの民家はほとんど押し流された。地面がずれてそこかしこで測量をやり直さなければならなくなったという話も聞く。見た目にはほぼ復旧は済んでいるようだったが、復興はまだまだこれからのように思えた。顧客のところに行った帰り、駅までの1キロ少しの道を歩いてみた。通りすがりの幼稚園で少し早い運動会が催されていて、少し足を止めた。玉入れが終わって、ちょうど玉の数を数えているところだった。予め子供たちによって録音された数字のカウントが公園に響きわたっていく。道草をしていたので、乗らなければならない電車の時刻が差し迫って、早歩きで歩いていたら汗がどんどん出てくる。ふいにびゅうと秋らしい涼しい風が吹いて、汗を乾かそうとする。駅に着いて売店でオレンジジュースを買っているうちに、特急列車がホームに滑り込んでくる。

★★★

台風がきて、みんな大変だ大変だと言いながらも、内心ではわくわくしているように見える(本当に被害に遭われた方にとっては不謹慎きわまりないが)。小学生の頃、暴風警報(休校になる目安)が出ないかとテレビの画面を見つめた記憶がフラッシュバックするのか。台風の襲来は少なくとも何日か前からは予想がついているし、当日ともなれば交通機関がストップするであろうことはもはや容易に想像がつくわけで、冷静になって目の前のことをきちんと把握して分析と対策を施せば、より混乱を小さくすることはできたような気はしなくもない。これは、同じ災害であっても、いつ起こるかほとんど予想のつきようがない地震とは大きく違うところだと思うし、台風に対する対処の方策は、ビジネスにおいて未然にトラブルを防いで円滑に進める手順と大きく似ているように思う。しかしこんなことをのたまっている僕もまた帰るタイミングを見誤ってしまったのだが(苦笑)。人間の精神って面白いなぁ。。